デザイン案(登場人物・数値は想定)
製造のユースケース 07|営業(見積・受注)
類似事例からの参考価格
過去の見積と受注の結果から、価格の目安を示す
想定する利用者
井上さん(仮名)従業員130名の精密部品加工メーカー 営業課 入社7年目
見積価格の最終の調整を担当。月に60件ほどの見積で価格を決めるが、過去にいくらで出して受注できたかを調べるのに1件30分ほどかかっている。
課題
- 似た部品をいくらで出し、受注できたかどうかは、担当者ごとのフォルダや記憶にしか残っていない。
- 過去の結果を調べる時間がないと、原価に一律の掛け率を掛けるだけになり、高すぎて失注したり安すぎて利益を逃したりする。
- 価格の根拠を上司に聞かれても、経験以外で説明しにくい。
こう解決
- 似た部品の過去の見積と、受注・失注の結果をAIが集めて並べる。
- 過去の結果をもとに参考価格の案を出し、参考にした事例を根拠として示す。
- 案と根拠を見比べて、提示する価格を決めるのは担当者だ。
過去にいくらで出し、どうなったかを見てから価格を決める
井上さんは、技術部と営業部がつくった見積の叩き台をもとに、お客様に出す価格を最終的に決める役目を担っている。原価に掛け率を掛ければ一応の金額は出るが、本当に知りたいのは「似た部品を前にいくらで出し、受注できたのか」だ。同じお客様に以前より大幅に高い金額を出せば理由を聞かれるし、競合と争っている案件で強気に出れば失注する。
ところが、その材料を集めるのが難しい。過去の見積書は担当者ごとのフォルダに保存され、受注したかどうかは別の台帳に記録されている。井上さんは似た案件を思い出してはファイルを開き、台帳と照らし合わせて結果を確かめる。1件あたり30分ほどかかり、月に60件の見積すべてでこれをやる余裕はない。結局、急ぎの案件では一律の掛け率で出すことになり、後から「あれは高すぎた」「もっと取れた」と振り返ることが少なくなかった。
そこで想定するのが、似た事例の見積と結果から価格の目安を示してくれるアプリだ。井上さんが見積中の案件を開くと、AIが図面や品目から似た部品の過去の見積を探し、そのときの金額、数量、お客様、受注か失注かを並べる。そのうえで、受注できた事例の価格帯を中心に参考価格の案を示し、「数量が多い分、単価は過去より低め」のように、案の理由を短く添える。参考にした事例はすべて一覧で確かめられ、気になるものは当時の見積書を開ける。
参考価格は判断材料の一つにすぎない。お客様との関係、今回の競合の有無、工場の空き具合など、価格を左右する事情は井上さんのほうがよく知っている。井上さんは案と根拠を見比べ、今回はどの価格で出すかを決めて、その理由をひと言残す。上司に価格の根拠を聞かれたら、過去の事例の一覧を見せながら説明できる。
ある日、以前から取引のあるお客様から、シャフト100個の見積依頼が届いた。アプリを開くと、似た部品の受注事例が3件、失注事例が1件並び、失注した事例は単価が2割ほど高かったことがわかった。井上さんは参考価格の案を見ながら、今回は競合がいると聞いていたことも踏まえて、受注事例の価格帯の下の方で出すことに決め、その理由を残した。結果は受注で、その結果も次の見積の事例として一覧に加わった。上司への報告でも、事例の一覧を見せるだけで価格の考え方が伝わった。
似た事例の見積と結果から、価格の目安を示す。
参考価格は判断材料の一つ。価格は担当者が決める。
AIで対応
- STEP1類似事例の参照似た部品の過去の見積と、受注・失注の結果を集める。
- STEP2参考価格の算出過去の結果をもとに参考価格の案を出す。
- STEP3根拠の提示参考にした事例を根拠として並べる。
担当者
- STEP4価格の決定案と根拠を見比べ、提示する価格を決める。
想定するアプリでは、主に次のようなことができる。
- 類似事例の参照。似た部品の過去の見積と、そのときの数量、お客様、受注・失注の結果を集める
- 参考価格の案。受注できた事例の価格帯をもとに、今回の数量や条件を踏まえた価格の目安を示す
- 根拠の提示。参考にした事例を一覧にし、当時の見積書まで開いて確かめられる
- 決めた価格と理由の記録。担当者が決めた価格と理由を残し、次の見積の材料にする
bloomがこのアプリをつくるなら、まず営業のベテランが価格を決めるときに何を見ているかを聞き取る。過去の見積と受注の台帳がどこにどう残っているかを確かめ、結果が記録されていない見積がどれだけあるかも把握する。参考価格を出すのはAI、価格を決めるのは担当者という線引きにするのは、価格がお客様との関係や会社の利益に直接かかわり、事情を知る人が責任を持って決めるべきだからだ。
初版では、過去1〜2年の見積を使い、アプリの参考価格と実際に出した価格、受注の結果を並べて、案がどの程度役に立つかを営業と一緒に確かめる。井上さんのような担当者に使ってもらいながら、根拠の見せ方や案の出し方を直していく。
想定される効果
過去の見積と結果を調べる時間が1件30分ほどから5分ほどに縮まり、急ぎの案件でも過去の結果を踏まえて価格を決められるようになる。価格の根拠が事例として残るため、上司への説明や後からの振り返りもしやすくなる。
| 業務 | いま | 導入後(想定) |
|---|---|---|
| 過去の見積と結果の確認 | 1件約30分 | 1件約5分 |
| 過去の結果を踏まえて決めた見積 | 3割ほど | ほぼすべて |
| 価格の根拠の説明 | 担当者の経験 | 事例の一覧で説明 |
bloomの進め方(想定)
- STEP1業務の整理約1か月
価格を決めるときに見ている材料と、過去の見積・受注の記録の残り方を整理し、AIと担当者の分担を決める。
- STEP2初版の開発約1.5か月
過去の見積と結果をもとに参考価格を示す初版をつくり、実際に出した価格と並べて確かめる。
- STEP3現場での試用と改善約1か月
営業担当に実際の見積で使ってもらい、根拠の見せ方や案の出し方を改善する。
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